高専数学はレベルが高い?ついていけない高専生が多い納得の3つの理由

高専生のための塾「さかのうえの塾」塾長の坂上です。

高専の数学はカリキュラムが特殊!

というのは高専生に塾は必要?の記事などでも何度も触れてきました。

この記事では実際に、ある一国立高専と、ある東京都立高校の数学のカリキュラムを比較してみました。

高専数学と高校数学のカリキュラムの違いに驚かれるかもしれません。高専受験を考えておられる中学生の皆さんや保護者の皆さん、数学に躓いて塾などを検討しておられる高専生の皆さんや保護者の皆さん、是非ご参考にして頂けたらと思います!

さて、今回比較のために選んだ学校ですが…

高専:全高専を平均したような数学カリキュラムな千葉県木更津高専
高校偏差値60程度の某東京都立高校普通科

この2校で比較させて頂きました!

高校については、全国5,000校近くある高校の中から1つを選ばせて頂きました。が、文科省からの学習指導要領で履修範囲が細かく決まっていますので、高校のレベルによって少々の差はあるものの、全国の高校で大体同じだと思って頂いて差し支えないと思います。

もくじ

高専1年生から3年生の数学のカリキュラムを高校と比較

今回は、高専で習う数学の単元を、実際に高校生はいつ習うのか?(あるいはそもそも高校生は習わないのか?)という比較を表にしました。

※(選択)となっているところは、高校生の中でも履修する高校生(理系選択)と履修しない高校生(文系選択)がいる内容となっています。

では早速比較表を見てみましょう!

高専の学年高専での
履修内容
ある都立高校が
同じ内容を習う時期
高専1年前期整式の計算と因数分解1年生の1学期
剰余の定理と因数定理2年生の1学期
分数式・実数と複素数2年生の1学期
二次方程式と解と係数2年生の1学期
恒等式と不等式と証明2年生の1学期
集合と命題1年生の1学期
二次関数1年生の1学期
べき関数と分数関数3年生の1学期(※選択)
無理関数・逆関数3年生の2学期(※選択)
指数関数・対数関数2年生の2学期
高専1年後期三角比1年生の2学期
三角関数と加法定理2年生の2学期
2年生の1学期
楕円・双曲線・放物線3年生の2学期(※選択)
不等式と領域2年生の1学期
場合の数1年生の1学期
順列と組み合わせ1年生の1学期
二項定理2年生の1学期
等差・等比数列2年生の1学期
数学的帰納法2年生の2学期
高専2年前期平面のベクトル全般3年生の1学期(※選択)
微分係数と導関数2年生の1学期
いろいろな導関数3年生の1学期(※選択)
関数の変動と微分の応用3年生の1学期(※選択)
高専2年後期空間のベクトル全般3年生の1学期(※選択)
不定積分と定積分2年生の3学期
置換積分・部分積分法3年生の1学期(※選択)
面積・体積・曲線の長さ3年生の2学期(※選択)
高専3年前期級数とマクローリン展開高校範囲外
2変数関数の偏微分高校範囲外
偏微分の図形への応用高校範囲外
2変数関数の重積分高校範囲外
重積分の図形への応用高校範囲外
高専3年後期1階線形微分方程式高校範囲外
2階線形微分方程式高校範囲外
いろいろな微分方程式高校範囲外
線形変換高校範囲外
固有値と固有ベクトル高校範囲外
固有ベクトルの応用高校範囲外

高専数学がレベルが高いと言われる3つの理由

理由①高専はとにかく単元網羅のスピードが速い

比較の表を見ても分かる通り、

1年生:前期の時点で、高校2年3年生の範囲、しかも文系選択の子は一生見ることが無い内容も学習
2年生:高校生では理系の学部受験生が3年生に習う範囲を1年前に勉強!
3年生全部が高校数学の範囲外!

では、なぜそんなに速いのでしょうか?

もちろん、高専は数学に特化した学校ではありません。しかし、

専門科目を低学年から授業するため、「早く網羅しないと専門科目に間に合わない

というのが一番の理由です。

実際に高専によっては「微分方程式」を3年生の専門科目で必要とするところも多くあります。それで、高校数学の範囲は怒涛のスピードで学ばざるを得ないわけです。

理由②週の数学の授業時間も多い

スピード感を持って学ぶ必要があると、当然そのために割く授業時間も多くなります。特に多くの高専では1年生、2年生では数学の授業時間は週6限分(※1限2限で90分と数える高専と、1限90分と数える高専がありますが、前者でカウントした場合)です。もっと多いところでは週8時間分の高専もあります。

例)
東京高専や明石高専の1年生・2年生:週6限分(※)、1年間で6単位
神戸高専の1年生:週8限分(※)、1年間で8単位
(※統一して分かりやすくするために2限を90分で計算した場合です)

風邪などで一週休んでしまうとあっという間に置いてきぼり、ということも…

さらに、よく言われることですが、高専生にはとんでもない量の「課題とレポート」が待っています。それらをこなしつつ、時間を確保して数学の復習をしっかりしていくのはとてもハードと感じている学生も多いようです。

理由③工学優先で実用性を重視した数学

理由①とも関連しますが、高専の数学は「専門科目」=「工学」を何よりも優先します。

工学にさほど必要ではない数学はさらっと!
工学に必要な数学は早目に!そしてガッツリと!

そんなスタンスで数学が進んでいきます。それで例えば…

高校数学では1年生の山場である「二次関数の軸と定義域が変化する問題」は「共通テストで頻出問題」のため、何週もかけてしっかりと学びますが…ほとんどの高専では「工学でほとんど使う場面が無い」ため、さらっと習います。

逆に、高校1年生と2年生に分けて習う「三角比と三角関数」は、高専では「工学で絶対に必要な数学」のため、早い高専では入学したばかり1年生4月の最初の授業で習うところもあるほどです。

高専生が5年間を乗り切るポイントはやっぱり数学!

高専生が留年せずに5年間を完走するためにキーとなる教科は、間違いなく「数学」!

ということがお分かり頂けたでしょうか?

当塾でも、依頼があれば応相談で物理・化学・専門科目の授業をすることも多いですが、やはりどこで躓いているか元を辿ると「数学」というケースがほとんどです。

 「電磁気学のガウスの法則や交流回路で躓いているんです…」
→実際は文字の種類が多い積分の計算やxy以外の微分方程式ができていないだけだった

 「物理の力学が入学から苦手意識があって…」
→sin,cosを使った力の分解の方法が分からなくて式が立てられないだけだった

こんなケースをよく見ます。もし高専の理系科目や専門科目で躓いていたら、まずは「数学力」から自己診断してみるのはいかがでしょうか?

もし高専数学に危機を感じ始めたら、高専生の個人プロ講師オンライン数学塾「さかのうえの塾」まで遠慮なくご相談ください。

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