高専生専門の個人オンライン数学塾「さかのうえの塾」坂上です。高専の数学の授業が進むスピードの速さは色々な記事で説明してきました。
今回は、全国の54高専(国公立)で使われている数学の教科書採用率上位5位をまとめてみました!
とは言っても、教科書は基本5種類しかないのですが…
1年生で習う「基礎数学」(高専によって「基礎数学」「数学1」など呼び方は色々)でカウント
国立と公立の54高専でのランキング
①メイン教科書としてと②参考書として採用している高専は①のメイン教科書をカウント
高専数学の教科書ランキング
では早速、高専数学の5教科書のランキングを見てみましょう。(写真は当塾で使用している紙版と電子版の教科書)
第5位:森北出版「高専の数学」
第5位は森北出版さんの「高専の数学」シリーズでした。
採用高専:豊田高専、久留米高専、沖縄高専の3高専。
特徴:1990年に初版発行の高専の数学教科書としては比較的歴史のある教科書。説明が短めでシンプルなのが特徴です。学生1人で勉強するには数学読解力が結構必要な印象もあります。例題とそれに対応する問は充実しているので、演習を十分に行える一冊です。
ただ、私がこれまで塾このテキストを使ってきた経験上の話をさせて頂くと…この教科書対応の問題集では、まだ習っていないところを使わなければ解けない問題が多くあったり・教科書から内容が飛躍している・ABCの難易度がきちんと棲み分けされていないなど…やはり一部の高専でしか採用されていない理由も納得できる、まだまだ課題が多い教科書という印象もあります。
今後の改訂に期待です!
第4位:実教出版「基礎数学」
次にランクインしたのは実教出版さんの「基礎数学」でした。
採用高専:神戸市立高専、北九州高専など4高専。
特徴:2010年初版発行の比較的新し目の教科書。高専・高校・大学生を教えてきた経験からの直感的な感想ですが…解説は高専生向けの教科書のものよりも、少し一般的な(基礎数学では高校生、それより高度な数学では大学生のテキストによくあるような)テイストの問題や解説を扱っています。それで高専生にとって好みははっきり分かれそうな印象ですが、工学数学のスタンダードな教科書です。説明、例題の解説、問題のバランスの取れた一冊です。
これまでこの教科書を使ってきた私個人の感想としては、教科書問題集物理的にかなり薄く(特に問題集)、解説がほとんどないと思ったら、実教出版さんのホームページで解説を配布していて、「じゃあその分厚さを倍にしても良いのでは…」と思える程ペーパーレスな問題集です。(個人的にその考え方は嫌いではないのですが…)
第3位:数理工学社「LIBRARY工学基礎&高専テキスト 基礎数学」
第3位は数理工学社さんの「LIBRARY工学基礎&高専テキスト 基礎数学」。
採用高専:茨城高専、小山高専、舞鶴高専など5高専。
特徴:2012年初版発行。このランキングの中では一番新しいテキストです。丁寧な解説と、また情報量も多いため、より深い知識まで学びたい学生にとってもありがたい教科書です。例題と問のギャップが大きい印象が強く、例題の解説のみでは問を解決できない学生もいそうなので、ワンクッション欲しい印象です。
また、同シリーズの問題集もA問題とB問題のギャップが大きい上にA問題にB問題レベルが結構入っているため、ある意味(笑)高専らしい癖の強い問題集で解き応えではこのランキング内でNo1かも…
数学好きには受けの良さそうな一冊です。
第2位:森北出版「高専テキストシリーズ 基礎数学」
第2位は、森北出版さんの「高専テキストシリーズ 基礎数学」でした。
採用高専:八戸高専、東京高専、大阪公立大高専など7高専。
特徴:2011年発行の歴史は浅い教科書ですが、高専の数学教材研究会編となっており、最新版は監修者と執筆者の33人の教授たちによってまとめられた、高専数学にかなり力を入れていることがよく分かる教科書です。時折少しマニアックに感じる部分もあるものの、高専の数学授業をよくイメージした安定の1冊だと思います。今回ランキングに挙がった教科書内で、この教科書の解説が一番分かりやすい単元もところどころあり、さかのうえの塾の授業でもこの教科書の解説を一部引用して理解を深めてもらうこともあります。
例題、問、演習問題も安定していて、高専数学を十分に学べる一冊です。
第1位:大日本図書「基礎数学」
映えある第一位は、大日本図書「基礎数学」です。
採用高専:東京産業技術高専、明石高専、徳山高専、鹿児島高専などなど…なんと33高専が採用!
特徴:初版年が書かれていませんが、令和2年の時点で「まもなく55年になる…」と書かれていたのでその歴史の長さがよく分かると思います。私も高専生時代はこの教科書で勉強しました。
これまで色々な高専生に当塾で使ってきた感想ですが、解説の分かりやすさ、公式までの証明のシンプルさなど、他を圧倒する「高専講師が作った高専生のための数学教科書」です。
私がこの教科書で学んだ約20年前から大きな改訂は2回ありましたが…前々回の改訂もより教えやすくなり、そして前回の改訂は「高専ならではのオヤジくさい解説」を一気に脱却した、馴染みやすい解説の教科書に生まれ変わったと思います。必要な知識に絞りながら、初心者にもとても分かりやすい解説で多くの高専が採用する理由も納得です!高専数学特化型の教科書としては、現時点ではダントツなクオリティの一冊です。
高専生の塾「さかのうえの塾」では全教科書対応!
皆さんの高専ではどの教科書を使っているでしょうか?(実は国公立高専で2高専だけ上記にはない教科書を使っています。その2高専の方は「あれ、うちの高専の教科書がない!?」と思われたと思いますが…そこはご了承ください)
教科書ごとに色々な個性があり、別の高専教科書を参考書として使うというのも数学に行き詰まった時にはありかなとも思います。数学の教科書理解の大切さはこちらのページをご覧ください。
高専生の塾さかのうえの塾では、全教科書対応で授業を行なっています。教科書解説、例題、問、付属の問題集全て学校と同じものを使用するので安心して授業を受けることができます。数学の授業でお悩みの際は遠慮なくお問い合わせください。