高専生専門のオンライン塾「さかのうえの塾」塾長の坂上です。これまで指導してきた高専2年生からよく聞く悩みの一つは…
積分がそもそも何をしているのかがいまいち分からない
というものです。この悩み、大日本図書の「微分積分1」も高専テキストシリーズの「微分積分1」もボリューム的に前期に微分、後期に積分を習うのがちょうどよくなっている関係で、微分との関係性がしっかり理解できず進んでしまうことが主な原因です。

この悩み
①微分②不定積分③定積分の3つの数学の「つながり」
をしっかり把握しておくことでほぼ解決します。でもその前に、まずはよくありがちなモヤっとした分野「傾き」と「面積」の関係を整理しましょう。
「傾き」の逆が「面積」って本当?
まず微分は「傾き」を求める数学というのは前提で話を進めていきます。

私がこれまで教えた子たちもそうですが、多くの高専生が「積分は微分の逆で、面積を求める数学」と覚えているようです。完全に間違いではないのですが…

「傾き」の逆が「面積」ってイメージできますか?
恐らくピンとこないと思います。むしろピンと来なくて当然です「傾き」と「面積」は逆の関係にはないのですから…
では微分と積分は逆なのに傾きと面積は逆ではない?どういうこと?
これを理解するには、①微分②不定積分③定積分のジャンル分けについて押さえておくことが重要です。
正しい線引きは「微分」「不定積分」と「定積分」
①微分②不定積分③定積分
これを大きく二つに分けるとどう分けられるでしょうか?
これまで私が教えた高専生たちがこの質問にほぼ100%答えるのは「微分」と「不定積分」「定積分」という分け方です。でも、このジャンル分けでは理解が曖昧になってしまいます。
正しい分け方は…「微分」「不定積分」と「定積分」です。大日本図書の微積1の教科書ではp86の前後で、高専テキストシリーズではp106の前後で分けられています。
なぜこの区切りで理解するのが正しいのでしょうか?
微分と不定積分は「展開と因数分解」と同じ関係!
前に触れた通り、微分は「傾きを求める数学」です。
それに対し不定積分は「微分される前の元の関数を求める数学」です(原始関数)。
その意味で、「微分と不定積分」は「展開と因数分解」と似た関係にあります。微分が展開ならば、不定積分は展開されたものを元にもどす因数分解に相当します。
例えば…
簡単な微分の例として、 \((x^2)’=2x\) ですね。\(y=x^2\) のグラフの全ての場所の傾きを表現したのが\(2x\)ということです。
それに対し不定積分 \(\int 2x dx=x^2\) は全ての場所での傾きが\(2x\)になるような、そんな元の式を求めると\(x^2\)が見えてくる、という意味です(本質だけ伝えるため積分定数は省略)
それで展開と因数分解が同ジャンルなように、微分と不定積分も同ジャンルです。
面積を求める数学は「区分求積法」で元々微積とは関係ない
次に定積分について考えますが、まずは数学の歴史から考えましょう。
元々「傾きを求める数学(微分)」と、「面積を求める数学」は全く別ジャンルの数学でした。



面積を求める数学は「区分求積法」が元々のジャンルです
区分求積法とは、グラフとx軸で囲まれた面を短冊で区切って、その短冊の幅を限りなくゼロに近づけることで線を足したイメージにして正確な面積を求める。という数学です。
こんな感じのイメージで、大日本図書ではp86-87、高専テキストシリーズではp106で取り上げられています。


ただ、この区分求積法を突き詰めていくうちに、面倒な計算をしなくても「不定積分の答えを活用すれば一発で答えが出る」と、積分と思わぬところで繋がりました。繋いでくれたのは「微分積分学の基本定理」です。
大日本図書の微積1の教科書ではp92-93、高専テキストシリーズの微積1の教科書ではp109-110でこの話が出ています。
それで「区分求積を、積分の答えを使って求める計算方法」が「定積分」として積分の分野に加えられるようになったわけです。
まとめ
大日本図書でも高専テキストシリーズでも、微分積分1の教科書は次のようなアプローチになっています。
とにかく「傾き」を求める数学です
「微分する前の関数」を求める数学で、微分とは展開と因数分解のような関係にあります
面積を求める数学「区分求積法」を一瞬だけかじります
区分求積法の答えを、「不定積分の答えだけ」借りれば爆速で計算できる発見を勉強します。この2つの数学を繋いでくれたのが「微分積分学の基本定理」です。今後は不定積分の答えを借りるこの計算法を「定積分」と呼びます。
積分がいまいち何をやっているか分からない
の疑問が解決できたでしょうか?次回は「高専生が押さえておくべき積分の計算」を記事にする予定です。

コメント